まさかの「白紙に戻す」。
安部首相の決断力はたいしたものですが、これは世論によるものですから今後起こりうる問題の責任は国民にもあるってことですよ。
個人的には本当に残念なことですが、日本のほとんどの人が歓迎しているようなので納得するしかないです。
工費が高くなりすぎた!というのが原因ですが、もう少し言い方を変えると、2500億円以上かけて実現したいデザインではなかったということになります。
本当に欲しくて欲しくてしかたないものであったなら、無理してお金出しても買いたいと思うものですが、そうならなかった。
「つまりその程度のデザインでしかなかった」
と言いたいのではありません。
「デザインが新しすぎて一般の人にはついていけなかった。」
これが私の意見です。
なぜ世界的にトップクラスの工業国である日本がデザインの分野では相変わらず発展途上国であり続けるのでしょうか。
日本人のデザイナーに才能が無い?
そうでないのは外国で活躍する日本人デザイナーの多さを見れば明らかです。
私はこれについては新しいデザインにチャレンジしないメーカーが第一の原因だという考えです。
新しいデザインとは逆に言えば過去に売れたことのない物で、出せば売れるかもしれないけど売れないリスクもある。
そのリスクを徹底的に排除しようとするので保守的で、どこかで見たようなデザインしか採用しないのです。
ただ、もっとたどると、新しいデザインだと売れないリスクがある、というレベルではなく、売れないリスクが大きすぎるという現実があります。
つまり日本で新しいデザインが生まれないのはそれを受け入れる土壌がないからだと思うのですよ。
新しい、奇抜な、変わった、こんなデザインの商品を出したらまず売れることはない。
何が原因かは簡単にはわからないと思いますが、それが現実。
まあ古いものを大事にするとか、伝統を重んじるとか、そういうことが要因になってるかもしれないのでそれが悪いこととは言えませんが、少なくともデザイナーや建築家などクリエイティブなことをしたい人にとってはいい環境ではないでしょう。
だからデザイナーが才能を発揮したいと思ったら、日本を出ていかなければならない、そう思ったのが私がイタリアに行くきっかけでした。
(オマエに才能があるのか!というツッコミは置いておいてください)
今回の新国立競技場の件で、デザインについては少数の批判こそあれ積極的に評価する意見は安藤忠雄さん以外にほとんど見られませんでしたよね。
完成すれば世界のデザイン関係者の注目を浴びるような建築になる可能性があったのに・・・
ああ、世の中こんなもんか、と悲しい気持ちにさえなりました。
デザイナーは日本にいてはダメだ。その思いを更に強くする出来事でした。
東京デザイナーズウィークなんかを見ると、日本をデザインでも一流国に変えていくんだ!って努力しているデザイナーなんかもいますが、そう簡単には変わらないと思うなあ。
本当に自分のデザインがしたいなら、日本を出るべし!
そういうことですのでザハ・ハディッドさんもご理解いただければ幸いです(笑)
當原のイタリアでの活躍(?)はこちら!
トウハラデザインスタジオホームページ